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「きみ、きみ! きみが今ひろったものはなんだね」

わりあいにおだやかな|聲《こわ》|音《ね》なのである。

俊助は答えないで、無言のまま、じっと相手の顔を見つめている。四十歳ぐらいの小男で、するどい目つきをしていたが、しかし人相は思ったほど|兇悪《きょうあく》ではなかった。

せいかん[#「せいかん」に傍點]なまゆのあいだにも、どこかゆったりしたところが見えるのだ。

「きみ、ちょっとそいつを見せたまえ」

男はこうしじまのオ��些‘のあいだから、右手を出した。

「いやだ」

俊助はマフラ��頦Δ筏恧摔��筏勝�欏⒁徊餞Δ筏恧摔筏轆兢��

「いいから、こちらへ出したまえ」

「いやだ。きみはなんの権利があってそんなことをいうのだ。きみはいったい何者だ」

「なんでもいい。出せといったら出さないか」

男はしだいに俊助のほうへつめよってくる。俊助は一步一步しりぞいてゆく。ふたりはグルリと道の上で円をえがいて、こんどは俊助のほうが木立のそばへ追いつめられていった。

そこにはがんじょうな鉄條網が張りつめられてあるので、しりぞこうにも、もうそれ以上しりぞくことができないのだ。

「きみ、きみ、出せといったらおとなしく出したまえ」

「いやだ!」

そう叫ぶと同時に俊助はネコのように身をすくめると、いきなり相手の男におどりかかっていった。ふいをくった相手の男はもろくもあおむけざまに、ズデンと道の上にころがったが、それを見るや俊助は、すばやく馬のりになってつづけさまに二つ三つポカポカとなぐった。

「このやろう、ひどいやつだ。昨夜瀬川兄妹をおそったのはきさまだろう」

「ちがう。はなせ! 苦しい」

小男は苦しそうに目をむいて、

「ちがう、ちがう。きみはなにかを鍘�玀筏皮い毪螭饋¥長欏ⅳ浹幛螭�>�欷握撙摔皮啶�ぃ郟!袱皮啶�ぁ工稅�悖蕒工毪取ⅳ餞韋證螭摔悉筏皮��螭荊 �

「警察の者?」

俊助はそう聞きかえしながら、おもわずちょっとひるんだ。そのすきに男はすばやく、俊助のからだをはねつけてとびあがった。しかし、べつに俊助のほうへとびかかってこようとするのでもない。

「わけもいわずにいきなり聲をかけたのは、こちらが悪かった。きみ、そのマフラ��虺證盲啤�伌à渭窯蓼扦浹盲皮�郡蓼ā¥勝摔玀�庠挙筏皮浹毪�欏�

そういうと、このふしぎな男は、俊助のほうには見むきもせずに、先に立って步きだした。

石狩のトラ

「いやわけ[#「わけ」に傍點]もいわずに由美子さんのあとをつけまわしていたのは、わしが悪かった。しかし、これも警視庁の命令だからかんべんしてもらいたい。わしは|木《きの》|下《した》という刑事なんだよ」

瀬川兄妹と俊助を前において、あのふしぎな小男は、はじめて身分をあきらかにした。

「しかし、その刑事さんがなんだって、由美子さんのあとを尾行しているんですか?」

俊助はまだふ[#「ふ」に傍點]におちない。

「ふむ、きみがふしんがるのもむりはない。じつは――」

と、木下刑事はひざ[#「ひざ」に傍點]をのりだすと、

「ちかごろ、北海道の警察から枺�─尉�晭丐摔郡い筏啤ⅳ窯袱紺Δ酥卮螭蕡蟾妞頦玀郡槨筏皮�郡韋饋�

というのはほかでもない。むこうで|石《いし》|狩《かり》のトラという名で知られている、ひじょうに兇悪な強盜犯人が、枺�─飼比毪筏郡槨筏ば汙Eがあるというのだ。じつに恐ろしいやつで、人殺しでも強盜でも、平気でズバズバとやってのけようという悪黨なのだ。

警視庁でもすてておけない。ただちに手配して、最近、どうやらそいつではないかと思われるようなやつをひとり発見した。というのは、この石狩のトラというやつは、左足がなくって、木の義足をはめているものだから、それが目じるしなのだ。ところが、そいつが目をつけているらしいのが、ふ

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