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はひざをのりだし、
「ねえ、香代子さん、あなたがたは、なぜそんなにビクビクするんです。なぜ、なにもかもうちあけて、警部の力をかりないんです」
「いいえ、いいえ、それはいけません」
香代子は恐怖にみちた聲をはりあげて、
「おじさま、秀蔵博士はまだ生きていらっしゃるのです。銀仮面のために、どこかにとじこめられていらっしゃるのです。あたしたちが、うっかりしたことをしゃべったら、銀仮面は、おじさまを殺すというのです。だから……あたしたちはなにもいえないのです」
それを聞くと一同は、思わずギョッと顔を見合わせた。文彥のほんとうのおとうさんが生きている。十何年もの長いあいだ、銀仮面のために、どこかにとじこめられている。それはなんという恐ろしいことだろう。
「香代子さん、銀仮面とは何者です。いったいだれなんです」
「知りません、存じません。それを知っているくらいなら、こんな苦しみはいたしません。あいつはじつに恐ろしいひとです。あたしたちのすることは、いつもどこかで見ているのです。ひょっとすると、いまあたしがこんな話をしていることも、あいつは知っているかも知れません。ああ恐ろしい、銀仮面!」
香代子は両手で顔をおおうと、風のなかの枯れ葉のように、肩をぶるぶるふるわせた。
ああ、それにしても銀仮面とは何者か。そしてまた、さっき金田一耕助がいった、ダイヤよりもっとたいせつなものとは、いったいなんのことなのだろうか。
樹上の怪人
その夜の十二時ちょっとまえ、文彥はただひとり、さびしい井の頭公園の池のはたに立っていた。
きみたちも覚えているだろう。銀仮面はおかあさんを連れ去るとき、あすの晚十二時に、黃金の小箱を持って、井の頭公園へくるようにという手紙を、文彥の家のポストのなかへ投げこんでいったことを!
おかあさんが寶石丸にとらえられていることが、わかったいまとなっては、銀仮面がその約束を、守るかどうか、うたがわしいと思ったが、それでも、念のために、いってみたらよかろうという、金田一耕助の意見で、文彥はいま、黃金の小箱をポケットに、公園のなかに立っているのだった。
公園には金田一耕助と等々力警部、ほかに刑事がふたり、どこかにかくれているはずなのだが、文�