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その聲に、ギョッとしてふりかえった一同は、聲の主の奇妙なありかに気がつくと、おもわず大きく目を見張った。

そのへやの壁に、五、六十も仮面がかかっていることは、まえにも話したが、その仮面のなかに、大野健蔵、秀蔵のきょうだい、それから文彥のおかあさんの顔もまじっているのだ。あまりたくさん仮面がならんでいるので、ほんとうの顔が、壁にくりぬいたのぞき穴からのぞいているのを、いままでだれも気がつかなかったのだった。

「これ、銀仮面、おまえはいつも部下をこのへやへ呼びあつめては、お面のうしろにくりぬいたのぞき穴から、こっそりお面をかぶった顔だけだして、部下のようすをさぐっていたろう。ながらくここにとじこめられているうちに、わたしはその秘密を知ったから、きょうはぎゃくにこの穴から、おまえのようすを見ていたのだ。さあ、もうこうなったらしかたがない、なにもかも白狀してしまえ!」

長いあいだのうらみをこめて、壁の上からハッタとばかりに、寶作老人をにらみつけたのは枯れ木のようにやせほそった秀蔵博士。そのとたん、まっさおになってふるえている、寶作老人の両手には、ガチャンと手じょうがおりていた。

ああ、日本一の寶石王とうたわれた、加藤寶作老人が銀仮面とは、なんという意外なことだろうか。

思えば恐ろしいのは人間の欲である。

寶作老人もひとなみはずれた欲さえ持っていなかったら、あんな悪人にならずにすんだだろうに!

それはさておき、銀仮面がとらえられたので、文彥をはじめとして、大野きょうだいや香代子のうえには、いまはじめて、平和の日がおとずれた。

文彥は秀蔵博士の子どもとわかったが、しかしやっぱりいままでどおり、竹田家の子としてやしなわれることになった。そしてその家には、ときおり秀蔵博士がおとずれては楽しいひとときをすごしていくのだ。

秀蔵博士は日ましに健康をとりもどし、血色もよくなってきた。そして、健蔵博士と力を合わせて、人造ダイヤの研究も、著々とすすんでいるということである。

だから、いまにダイヤが大量に製造されて、それによって日本が、世界の舞臺にのりだすのもそう遠いことでないにちがいない。

三太少年は金田一耕助にひきとられて、いまではあっぱれ、少年探偵になっているということである。

悪魔の畫像

赤色の劍�

「ああ、これは|杉《すぎ》|勝《かつ》|之《の》|助《すけ》の劍�坤省�

おじさんはそういって、くすんだ銀色のがくぶちにおさまった、大きな油劍�韋蓼à恕ⅳ瀝�隴�阮啢頦瑜護俊�

その劍�趣いΔ韋稀ⅳ郡埔互岍‘トル五十センチ、よこ一メ��去朧�互螗瀝玀ⅳ恧Δ趣いΑ⒋螭�視徒}だが、いちめんにベタベタと、赤い色がぬりつけてあって、なんとなく気味の悪いかんじなのだ。

「おじさん、杉勝之助ってだれ」

|良平《りょうへい》が聞くと、

「杉勝之助というのはね。戦爭中に、若くして死んだ天才畫家なんだ。世間から赤の畫家といわれるほど、赤い色がすきで、どの劍�蛞姢皮狻⒊啶ど��い瀝幛螭衰佶駿佶郡趣踏盲皮ⅳ毪�槨工挨銫�搿¥ⅳⅳ浹盲絢轆餞Δ饋¥長長松激違單ぅ螭�ⅳ搿�

と、おじさんはいくらかじぶんの|眼《がん》|力《りき》をほこるように劍�斡蟻隴韋工撙蛑袱丹筏俊R姢毪取ⅳ勝毪郅嗓餞長恕⑸紕僦��蚊�蓼à�ⅴ愆‘マ字でかいてある。

「おじさん、杉というひと知っているの」

「いや、特別こんいだったわけじゃないが、なにかの會で二、三度あったことがある」

良平のおじさんは、|清《し》|水《みず》|欣《きん》|三《ぞう》といって、いまうりだしの小説家だが、いたってのんきなひとで、まだおくさんもいない。そして、じぶんの姉にあたる、良平のおかあさんのところに、同居しているのだ。

良平のおとうさんは、さる大會社の重役だが、仕事の関係で、しじゅう旅行しているので、家がぶようじんだからと、こちらからたのんで、欣三おじさんにいてもらっているのである。

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