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うのテレビを見たせいではないか。それで、大野健蔵というひとのいどころを知り、それでああして、押しかけていくのではあるまいか……。
少年の心のなかには、おとなもおよばぬするどさがやどっていることがある。とっさのあいだにこれだけのことを考えると、文彥はこんどはきゅうに、大野健蔵というひとのことが心配になってきた。そこでまた、まわれ右をすると、大急ぎでさっきのところまできたが、そのときにはもう気味の悪いおばあさんのすがたは、どこにも見あたらなかった。
文彥はしかしもうためらわなかった。ムギ畑のあいだの道を、ズンズンすすんでいくと、間もなく雑木林にそって道が曲がっている。そのへんまでくると、あたりはいよいよさびしく、どこにも人影は見あたらない。
道のいっぽうはふかい雑木林になっていて、反対側には、流れの早い小川が流れているのだ。そして小川のむこうは、ふかい竹やぶである。
文彥はしばらくその道を步いていったが、すると、曲がりくねった道のほうから、急ぎ足にこちらのほうへやってくる足音が聞こえてきた。文彥は立ちどまって、その足音を聞いていたが、きゅうに顔色をかえると、かたわらの雑木林にとびこんで、草のなかに身をふせた。足音のなかにまじっている、コトコトというつえの音を聞いたからだった。
むこうからやってきたのは、はたしてさっきのおばあさんだった。おばあさんは息をきらしてあたふたと、文彥のかくれているまえまでくると、そこでふと立ちどまって、鋭い目であたりを見まわすと、いままで弓のように曲がっていた腰を、きゅうにシャンとのばしたではないか。
文彥は思わずアッと息をのみこんだ。ああ、このひとはおばあさんではないのだ。おばあさんのまねをしているだけなのだ。ひょっとするとこのひとは、男ではないのだろうか。
あやしいひとは、また鋭�